『勇者ライと3つの扉1 金の扉』担当編集からのコメント

壁に囲まれた、閉ざされた国に住む人々を襲う、恐ろしい怪物たち。

だれかが壁の外へ出て、怪物の謎を解き、人々を救わなければならない。

──物語の設定がわかってきたとき、わたしはすぐに、人気コミック『進撃の巨人』(諫山創/講談社)を連想しました。わけもわからず捕食される人々の恐怖や、暗鬱な雰囲気が似通っているように思えて、最初は気になったのですが、読み進めていくにしたがって、そんなことはどうでもよくなっていました。

主人公の少年が、初めて新しい「外の世界」にふれ、おそれとおどろきでいっぱいになりながらも前に進んでいくとき、わたしも同じように、新しい世界へとこわごわ踏みこんで行く気持ちになりました。少年の迷いや決断が、自分のことのように感じられました。本のページを繰るのが楽しい一方で、読み終わってしまうのが惜しかったです。

第1巻を読み終えたとき、まだ第2巻と第3巻があることが、うれしくてしかたがありませんでした。そして、このすばらしい物語を、ぜひ日本語版にしたいと思いました。原書に出会ってから約2年、ようやく発売日をむかえることができ、しあわせな気持ちでいっぱいです。

あとで調べたところ、本シリーズをエミリー・ロッダ氏が書きはじめたときと、『進撃の巨人』を諫山創氏が書きはじめた時期は、ほとんどいっしょのようです。ふしぎですね。

本作は、ベストセラー・シリーズ『デルトラ・クエスト』と同じ世界の中で展開されていると、オーストラリアの読者のあいだで話題になりました。エミリー・ロッダ氏が、『デルトラ』世界の物語を書くのは、初めてのことだそうです。どのあたりに、『デルトラ』世界の一部が登場するのか──デルトラ・ファンの方は、楽しんでさがしてみてください!

株式会社KADOKAWA メディアファクトリー BC
第一出版事業局 児童書グループ 林 由香

勇者ライと3つの扉

「勇者ライと3つの扉 1 金の扉」

著者/エミリー・ロッダ

翻訳/岡田好恵

イラスト/緑川美帆

メディアファクトリー

2014年7月18日刊